麗雪神話~炎の美青年~
第八章 命を狩る者
1
アル=ハル族の町アスパは、深い紫色の霧に包まれていた。
人々はアル=ハルの適切な避難誘導によってすでに避難しており、町は無人だった。
無人だからこそ、どんよりと覆いかぶさるように濃い紫の霧漂う光景は、よりいっそう陰鬱で不気味だった。
ディセルは研ぎ澄ました氷の剣を右手に構え、迷わず霧に意識を集中させた。
早くすべて終わらせてセレイアのもとへ行きたい、その想いが強い。
「霧よ…カタチとなれ!!」
彼の思念が霧に届くと、霧が凝縮しみるみるうちに形を持つ。
今回の霧は、案の定巨大な虫へと変化した。
虫―それもひときわ強暴そうな、見上げる程の巨大カマキリへと。
黒光りする両前足の鋭い刃に、ディセルは眉根を寄せる。
セレイアという一級戦力のない今、どれだけ一人で戦えるか、正直わからない。だがセレイアが任せてくれたのだ、その期待を裏切りたくない。
ディセルはすらりと剣を構え、カマキリへと向かっていった。
人々はアル=ハルの適切な避難誘導によってすでに避難しており、町は無人だった。
無人だからこそ、どんよりと覆いかぶさるように濃い紫の霧漂う光景は、よりいっそう陰鬱で不気味だった。
ディセルは研ぎ澄ました氷の剣を右手に構え、迷わず霧に意識を集中させた。
早くすべて終わらせてセレイアのもとへ行きたい、その想いが強い。
「霧よ…カタチとなれ!!」
彼の思念が霧に届くと、霧が凝縮しみるみるうちに形を持つ。
今回の霧は、案の定巨大な虫へと変化した。
虫―それもひときわ強暴そうな、見上げる程の巨大カマキリへと。
黒光りする両前足の鋭い刃に、ディセルは眉根を寄せる。
セレイアという一級戦力のない今、どれだけ一人で戦えるか、正直わからない。だがセレイアが任せてくれたのだ、その期待を裏切りたくない。
ディセルはすらりと剣を構え、カマキリへと向かっていった。