麗雪神話~炎の美青年~
まずは低い位置を狙って、刃を突きだす。

カマキリはさっと跳び上がって避けた。

二度、三度と今度は斬りつけた。これもカマキリは素早く避けたが、四度目の攻撃は当てることができた。

しかし、刃はつるつるとした体表面に流されてしまう。

ディセルの創る氷の刃は、生半可な強度ではない。鋼をも凌ぐ強度でつくっている。それを受け流すとは…これは少し長い戦いになるかも知れない。

ディセルが作戦を練ろうと考えを巡らせ始めたところで、カマキリが反撃に出てきた。

跳び上がり、両前足の刃をざっとひらめかせる。

ひゅっと空気が鳴り、ディセルが避けたので近くの街路樹がすっぱりとまっぷたつになった。

ディセルは後ろに跳びながら、作戦を考える。

しかし考える時間など、むこうは与えてくれないようだ。

続けざまに攻撃を仕掛けてくる。それを受けるのに手いっぱいで、ディセルはしだいに追い詰められていった。
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