麗雪神話~炎の美青年~
2
カティリナは不安だった。
そして孤独で、苦しかった。
国使たちとの会談に参加することを、彼女は許されず、天幕でアル=ハルの帰りをただ待っているのだ。
トリステア侵攻に失敗してからというもの、アル=ハルはろくに口をきいてくれていない。
嫌われたのだ。
決定的に、嫌われてしまったのだ。
そう思うと、針を呑んだように辛く、胸が痛い。
アル=ハルが平和を望んでいたことは知っている。けれどカティリナにはそれが歯がゆかった。目の前に豊かな国があるのだから、それを奪い取ってしまえば、もっと豊かに暮らせるのに、と思ってしまった。
カティリナはアル=ハルの笑顔が見たかったのだ。
あの笑顔。見る者を明るくする、最高の笑顔。
ヴェインと言う謎の仮面の少年に出会い、眠りの霧の策を頼んだのも、すべてはそのため。それだけのため。
そして孤独で、苦しかった。
国使たちとの会談に参加することを、彼女は許されず、天幕でアル=ハルの帰りをただ待っているのだ。
トリステア侵攻に失敗してからというもの、アル=ハルはろくに口をきいてくれていない。
嫌われたのだ。
決定的に、嫌われてしまったのだ。
そう思うと、針を呑んだように辛く、胸が痛い。
アル=ハルが平和を望んでいたことは知っている。けれどカティリナにはそれが歯がゆかった。目の前に豊かな国があるのだから、それを奪い取ってしまえば、もっと豊かに暮らせるのに、と思ってしまった。
カティリナはアル=ハルの笑顔が見たかったのだ。
あの笑顔。見る者を明るくする、最高の笑顔。
ヴェインと言う謎の仮面の少年に出会い、眠りの霧の策を頼んだのも、すべてはそのため。それだけのため。