麗雪神話~炎の美青年~
けれど、結果は真逆だ。
アル=ハルは、自分を遠ざけ、笑ってくれなくなった……。
涙が浮かんでくるのを、カティリナは必死でこらえた。
自分に涙は似合わない。
過ちを犯した自分には、泣くことなど許されていない…。
(アル=ハル様……)
暗殺者として現れた自分を、助けてくれたあたたかい人。人のぬくもりを教えてくれた人。いつもその笑顔で守り、包んでくれた、何よりも大切な人。そして誰よりも恋しい人…。
こらえきれずにあふれた涙を乱暴にぬぐった時、天幕の外で人の気配がした。
ざっと入り口の布がかき分けられ、焦がれた人が天幕へと入ってくる。
「アル=ハル様…」
涙に気づかれないよう気丈に声を発したつもりが、その声は頼りなく震えてしまった。
逆光で、アル=ハルの表情は読めない。
「あの……怒っていらっしゃいますよね、勝手に兵を挙げたこと…」
おずおずと尋ねると、アル=ハルはしっかりと頷いた。
「ああ、怒っているとも」
その台詞に、カティリナは心が粉々に砕け散るような衝撃をおぼえた。
ああ、やっぱり怒っているんだ。
自分はもう、決定的に嫌われてしまったんだ。
「申し訳…ございません……」
もうこらえきれなかった。
ぽろぽろと、カティリナの瞳から涙が零れ落ちた。
アル=ハルは、自分を遠ざけ、笑ってくれなくなった……。
涙が浮かんでくるのを、カティリナは必死でこらえた。
自分に涙は似合わない。
過ちを犯した自分には、泣くことなど許されていない…。
(アル=ハル様……)
暗殺者として現れた自分を、助けてくれたあたたかい人。人のぬくもりを教えてくれた人。いつもその笑顔で守り、包んでくれた、何よりも大切な人。そして誰よりも恋しい人…。
こらえきれずにあふれた涙を乱暴にぬぐった時、天幕の外で人の気配がした。
ざっと入り口の布がかき分けられ、焦がれた人が天幕へと入ってくる。
「アル=ハル様…」
涙に気づかれないよう気丈に声を発したつもりが、その声は頼りなく震えてしまった。
逆光で、アル=ハルの表情は読めない。
「あの……怒っていらっしゃいますよね、勝手に兵を挙げたこと…」
おずおずと尋ねると、アル=ハルはしっかりと頷いた。
「ああ、怒っているとも」
その台詞に、カティリナは心が粉々に砕け散るような衝撃をおぼえた。
ああ、やっぱり怒っているんだ。
自分はもう、決定的に嫌われてしまったんだ。
「申し訳…ございません……」
もうこらえきれなかった。
ぽろぽろと、カティリナの瞳から涙が零れ落ちた。