麗雪神話~炎の美青年~
第一章 炎の美青年

きゅうきゅう鳴いて喜びながら川原ではしゃぐプミラを横目に、セレイアはそでまくりをし、銛(もり)を手にして真剣に川をみつめていた。

ゆるやかな小川だった。

自然度が高く浅い川で、生い茂った草木に浸食された部分も多い。

だからこそ“獲物”も多いのだ。

みつめる川面に、ふと黒い影が見える。

「そこよ!」

セレイアは一声叫ぶと、勢いよく手にした銛を川面に突き刺した。

しっかりとした手応え。

銛の先端では、黒い影がぷるぷると身をよじって逃げ出そうとしている。

ひきあげると、それは銀色の鱗を持つ小さな魚だった。

「う~んちょっと小さいかな。
これじゃ、二人分にはならないわね…」

セレイアはぼやき、足元に置いたバケツに魚を放り込む。

「もういっちょ! 今度こそ大物をとるわよ!」
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