麗雪神話~炎の美青年~
「でも…どこを探すんですか? 何か手がかりはあるのでしょうか」

ディセルの問いに、アル=ハルは何も言わずにカティリナに手を挙げて合図した。

すると天幕の奥からカティリナが、一枚の羊皮紙を持ってくる。

「犯人はこれを残して行ったのです。
“首飾りを取り返したければ、
マグマの洞窟に来い“と書かれています」

「 “マグマの洞窟”…?」

「マグマの洞窟とは通り名で、正式にはローエン洞窟といいます。ここより北東のはずれにある洞窟で、いかにもな外見から不吉とされているため我々は誰も近づきません。が、旅人の話によれば、中にはマグマが煮えたぎっているという噂です」

そんなところに呼び出すなど、いかにもあの吟遊詩人がやりそうなことではないか。

森の奥に迷い込まされたことは、まだ記憶に新しい。

―今度会ったらただじゃおかないわよ!

セレイアは拳を握ると、それを胸にあてて意気込んだ。

「護衛役はお任せください。ブレイズさんを守り、必ずや首飾りを取り戻してごらんにいれます」

―そして吟遊詩人を一発殴って来てやります。

セレイアはそう胸に誓ったのだった。
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