麗雪神話~炎の美青年~
少しも打ち解けてくれないカティリナと比べて、ブレイズとは話しやすかった。

ブレイズは四人のうちで一番体力がなく、へろへろになりながら皆についていくのがやっとといった様子だった。そのくせ一人だけ重そうなリュックサックを背負っているので、セレイアは訊いてみた。

「荷物、どうしてご自分で持つんですか? もう少しプミールが持ってくれると思いますよ」

すると、ブレイズは頬を染めて答えた。

「えと、大切なものなんです。プミールたちに任せるわけにはいきません」

「大切なもの? 何か、うかがっても?」

「ええっと…笑わないでいてくれますか」

「もちろん、笑ったりしませんよ。なんなんですか?」

興味をひかれてセレイアが荷物をのぞきこむと、ブレイズはもじもじしながら中身を見せてくれた。

リュックサックの中には、たくさんの本が詰まっていた。

「本……ですか?」

「そうです。本と、日記です。日記と言っても、読んだ本の感想を書く日記なんです。肌身離さず持ち歩いてないと落ち着かなくて…父上には次期族長がそんなことしなくていいと、本当は禁止されているんですけど」
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