麗雪神話~炎の美青年~
「まあ!」

セレイアは本を手に取り、瞳を輝かせた。

「この本、“夕暮れの恋人”私も読みました! この本もこの本も…私の好きなものばかりです。私も本の感想日記、つけていたことがあるんですよ」

「ほ、本当ですか?」

思わぬ展開に、ブレイズが惚けたような表情でセレイアをみつめる。そして心から打ち解けた笑みを見せてくれた。

酒場で出会った彼そっくりの青年と、こういうところが全然違うなあと思いながらきゃっきゃと本話で盛り上がるセレイアたちをよそに、ディセルは焦りを感じていた。

セレイアは鈍いから全然気づいていないみたいだが、ブレイズは明らかにセレイアに好意を抱いている。目の前でどんどん仲良くなられて、ディセルは当然ながら面白くない気分だった。
< 52 / 176 >

この作品をシェア

pagetop