麗雪神話~炎の美青年~
セレイアの優しさが、自分だけに向けられるものではないことなど、本当は知っていたけれど。それでもセレイアを独占していたかったのだ。

そもそも自分は人間ではなくて、天上界に帰らねばならない身だ。だからセレイアが新しい愛をみつけるなら、きっとそれを応援するのが正しいのだろう。それなのに、もやもやする気持ちがどうしようもない。

こんな気持ちをきっと…嫉妬と呼ぶのだろう。

「セレイア」

気が付くとディセルは二人の間に割って入っていた。

「俺も読む」

「え? ディセルが?」

「読むったら、読むから」

こんな子供っぽい言動しかできないから、セレイアは自分のことを意識してくれないのかもしれない。そう思ったらすごく悔しくてみじめな気持ちになった。
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