麗雪神話~炎の美青年~
「くそ、どうしてこんなところに岩があるんだ」

「落石だろう。そんなこともわからないのか」

「なんだと!?」

「おい、もっと力をこめて押せよ」

「貴様がやれ! なぜ俺がやる!」

「ふん、俺は絶対やらないぞ」

岩山の裏手にまわりこむと、そこには三人の若者の姿があった。

皆若く、褐色の肌で、砂除けのマントを羽織り、頭にターバンを巻いている。

ブレイズが「あ……」と声をあげる。

「彼らは他の部族の次期族長たちです」

「彼らが…?」

向こうもこちらに気づいたようで、三人が言い争いをやめてこちらを振り返った。

「なんだ弱虫ブレイズ。お前まで来たのか」

ふんとこばかにしたように鼻を鳴らしたのは、ちょっと太めのそばかす顔の若者だった。

「彼はビッチィ・クランク。23歳で、一番年上、雷の部族アル=カゼルの次期族長です」
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