麗雪神話~炎の美青年~
「なっ、なにするのっ」

「何って…消毒」

「そ、そう。は、はなして。もう無茶はしないから、先を急ぎましょう」

気のせいでなければ、ディセルもかなり赤面しているように見えた。

再び走り出しながら、思った。

―私、なんでこんなに動揺してるんだろう。

そりゃ傷を舐められたのだ。家族にやられたってどきっとするに決まってる。そうに決まってる。

セレイアは自分をそう納得させた。

そして頭をブレイズ救出の方へ半ば無理矢理切り替え、走る。

そうしてしばらく走るうち、事件が起こった。

セレイアが駆け抜けた細い道をディセルも同じく駆け抜けようとしたところ、頭上から急に何かが降ってきたのだ。

巨大な石―落盤だ。

思わず頭をかばって飛びのいたディセルの目の前に、巨大な石はどすんと落ちた。

「ディセル!」

「―大丈夫怪我はないよ! ただ…」

道はふさがってしまった。
< 72 / 176 >

この作品をシェア

pagetop