麗雪神話~炎の美青年~
誰かがビッチィの体をひきずりあげ、ぼっこぼこに殴っていたのだ。

跳ねあがり落下したビッチィの体に、膝蹴りを叩き込む。体術の基本の型を忠実に守った攻撃だ。

一瞬ディセルかと思ったが、彼がこんな体術を使うところなど見たことない。

では一体誰…?

「ひ、ひぃぃ! や、やめてくれ、幽霊だ、幽霊だぁ~!」

(…幽霊?)

ビッチィのその台詞で、やっと気が付いた。

突然現れ自分を助けてくれた人物が、死んだはずのブレイズであることに。

セレイアは目を見張り、声を失った。

(ブレイズさん…!?)

マグマに落ちて生きているなど、ありえない。

では目の前の彼は、ビッチィの言う通り、ブレイズの幽霊なのだろうか。

それにしては存在感がはっきりしている。それに、ビッチィを殴るたび、肉と肉がぶつかりあう鈍い音がしているではないか。

(でもブレイズさん、体術はてんでだめだって)

セレイアがひたすら混乱している間に、ビッチィは気を失ったらしかった。
< 77 / 176 >

この作品をシェア

pagetop