麗雪神話~炎の美青年~
しばしの沈黙で幾分冷静になってきたセレイアは、考えをまとめようと試みた。

(ブレイズさんは、二重人格なの…? それで、第二の人格の時だけ、体術や短剣に強くなる…それどころかマグマに落ちても死なない…そういうこと?)

やはり信じがたい話だが、それでも信じるよりほかないようだ。

「ビッチィの野郎、とんでもない大ばか者だな。知り合いの死にショックを受けているところにつけこむなんて。服、直してやるからこっち来い」

「あ……」

いつのまにかはだけていた服の前を、ブレイズが優しい手つきで直してくれる。

お礼を言うべき、だろうか。

だが、まだ頭が現実に追いついて行っていない。

セレイアがとまどっていると、背後から駆け足で近づいてくる足音がした。
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