麗雪神話~炎の美青年~
「ブレイズさん! 大丈夫ですか!?」

すぐに立ちあがり、慌ててブレイズのもとへ駆けていくと……

ブレイズはこちらを振り返り、はにかんだように笑った。

「ええっと…僕は、大丈夫です。
それよりほら、首飾り!
ちゃんと取り返せましたよ」

その口調は先ほどまでとがらりと変わっている。

セレイアは口をぽかんとあけた。

「ブレイズさん…もとに、戻ったんですか」

ディセルの呆然とした呟きに、ブレイズはまた笑う。

優しく穏やかな笑みだ。

第二のブレイズが、絶対見せないだろう笑み。

「お二人の護衛のおかげです。
ありがとうございました」

「…………」

二人はしばらく何も言うことができなかった。

しかしわかっていることがある。

ブレイズが元に戻った。

首飾りも取り戻した。

皆無事だ。

目的は果たしたと言っていいだろう。

「ええと、それじゃあ、帰りましょうか。みんなも連れて」

おずおずと申し出るブレイズに、二人はとりあえず頷くことしかできなかった。

山のように聞きたいことがあるが、それはこの洞窟を出てからにしよう、と心に決めて。
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