麗雪神話~炎の美青年~
第五章 少女の頃から

首飾りを手にアル=ハル族の集落に帰ってみると、なぜか険しい顔をしたアル=ハルとカティリナに迎えられた。

二人とも何かを考え込むような顔つきで、ちらちらとディセルに視線を送っている。

ディセルに何かしたのかと視線で問うてみたが、ディセルはさっぱりだというように肩をすくめてみせた。

「何かあったんですか?」

セレイアが尋ねると、二人は重々しい仕草でうなずいた。

族長の天幕の中に招き入れられ、人払いがされる。ブレイズは自分の天幕へと帰っていった。

今日はカティリナも酒の準備をしなかった。

かわりによく冷えた水が出されたが、話を聞くまでは口をつける気になれなかった。

アル=ハルまで口をつけていない。

よほど深刻な話だろうと、二人は身構えた。

「単刀直入に言いましょう。
実は、君たちが出発してすぐの夜に、ある人物が殺されたのです」

「えっ」

穏やかではない話に、二人は視線を険しくする。
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