麗雪神話~炎の美青年~
「そのある人物と言うのが、…私が君たちのかわりに客間に泊めていた者なんです。ディセル殿のかわりに客間に泊まった彼は、槍のひと突きで殺されていた。即死のようだった」

「ディセルの、かわりに…それって」

セレイアは鳥肌が立つのを感じた。

何者かによってディセルの命が狙われていることを意味するのではないか!?

―槍。

セレイアの脳裏に、旅の途中見たいやな夢が蘇った。

あの夢でも、ディセルは仮面の少年に槍でひと突きにされていた…。

セレイアの胸の中を冷たい何かが満たしていく。それはいやな予感、確信に近い予感のようなものだった。

「天幕の天井に、槍によって突き破られた跡があった。犯人はプミールか何かに乗って、空から奇襲したのだろうと思います。ディセル殿、何か命を狙われる心当たりはないかな?」

先程から彼らがディセルに視線を送っていたのは、そういうわけだったらしい。
< 87 / 176 >

この作品をシェア

pagetop