麗雪神話~炎の美青年~
「すみません。あいつももっと愛想があればいいんですが…」

「そんなこと」

「あいつはなかなか人を信じられないんです。悪く思わないでいただけないでしょうか」

「悪くなんて思いません。ただ……」

セレイアはちょっと振り返ってカティリナの背中をみつめた。

マグマの洞窟へ向かう途中、道端の花に見せた笑顔が脳裏をよぎる。

彼女の優しさは、一見見えにくいが、本物だと思う。

「私、もっとカティリナさんと仲良くなりたいんです。もっと話してみたいなぁ。きっと打ち解けられると、思うんですけど」

セレイアが呟くと、アル=ハルはしばし黙った。

「そう、ですか…うん、よし。決めた。
お二人とも、ちょっとついてきていただけますか。
少し、昔話をしますから」

そう言って先に立ち歩き出したアル=ハルのあとを、セレイアとディセルは目を見合わせてから、頷き合い、追って歩き出した。
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