ワタシの愛しの剣士様⭐



ーもう、何度目かの春。
これまた何度目かの新入社員の入社式を終え、また業務に終われる4月半ば。


とある大手化粧品メーカー企業のOLである私、水戸 なる(みと)は昨日で24となった。


「ふぁ~あ、始まりの春、ねぇ……」


パソコンに写し出される『始まりの春!新春コスメ特集!』の見出しを頬杖をつきながら眺めた。


新春、新春…………
何度春を迎えても、変わり映えのない毎日の繰り返しじゃない。


ーカチカチカチカチッ


私は、この数年修得した『高速キーボード打ち』をかましながら、仕事に没頭する。


「ねぇ、るな!そろそろ休憩行かない??」


パソコン画面と戦っていると、横から同僚で友人の境 絵里香(さかい えりか)が声をかけてくる。


うーん、すごい魅力的な誘いなんだけど、今日は、どうしても残業出来ないんだよね。


「今日は、17時半には上がりたくて、ごめん絵里香」

「えー!もしかして、合コン??それなら私もっ…」


合コン、そういえば最近行ってないなぁ。
って、そうじゃなかった!


「違うって、別件!」

「え~教えてよ!」


可愛らしくむくれる絵里香に、私は苦笑いを浮かべた。



私だって、話せるなら話してるって。
でも、話せない理由がたくさんあるというか……


「秘密、絵里香には刺激が強すぎるし」

「い、いかがわしい!!」


何を勘違いしたのか、顔を真っ赤にして私から逃げる絵里香の背を見送る。


そう、私にはもう1つの顔がある。
それこそ、私の大きな秘密なんだけど………
























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