ワタシの愛しの剣士様⭐


いつものように、公園の出口が見えてくると、そこに、うずくまった男の人がいた。


「え、何あれ………」


傘を後ろに傾け、私は目を凝らす。


すると、そこに置かれた花束を前に手を合わせているのが見えた。雨に濡れながら、ただひたすらに手を合わせる男の人に、わたしは無意識に足を止めていた。



誰か、亡くなったんだ…………
それが仏花だと気づき、そう悟る。


雨はシトシトと優しいのに、まるで、男の人の上だけ、ザーザーと大雨が降っているように見えた。



傘も持たないで、風邪ひくじゃん。
天気予報、私と同じで見てなかったとか?



一度気になり出すと、止まらない。
私って、なんて損な性格なんだろう。他人なんて、どうでもいいはずなのに……


私は、ため息をついて、男の人に近づいた。














< 5 / 60 >

この作品をシェア

pagetop