……っぽい。
「先輩、なんでまたダサい部屋着なんか……ん、髪濡れてます? どうして……」
「ああうん、笠松、吐いたでしょう。夢中で片付けてたら知らない間に付いちゃったみたいでね。笠松が昼間、部屋着のプレゼントなんて言うから着てたんだけど、今、洗濯カゴなんだ」
照れくさくてムズムズする気持ちが素直に口元に出てしまいながら、へへへと笑って答える。
柄にもなく嬉しかったのだ。
“プレゼント”という言葉の響きが。
「着る順番、変えればよかったよ。まさか笠松があんなにオエオエしちゃうなんて思ってなかったから。ま、臭いが残っても着るけど」
「んなもん、いくらだって買ってきますよ」
「あははー、笠松小金持ちだー」
「先輩のほうが給料もらってるでしょ」
「えー、変わんないでしょ」
いつもの調子で軽口を叩き合いながら、思う。
いろんな笠松の気持ち受け止めてあげたいな、ちゃんと自分のことも信じてあげたいなと。
そのためには、香久山さんが言ったように、笠松の本気の言葉を回りくどく捉えないでストレートに解釈することが一番なのだろうと思う。
そういう経験がないから、あまり自信はないけれど、やってみないことには何も始まらないし。