……っぽい。
 
それでも、子供がいるとこんなもんになるらしく、彼女は普通にご飯を食べている。

母は色々凄い……。

しかし私は、それどころではない。


「おのれはっ!ここ託児所!おっぱい吸わせてる人が何言うの!! 恥を知れ!恥をっ!!」


拓斗くんの手前、大声は出せないし、拓斗くんがどこでどう言葉を覚えるか分からないので、ヒヤヒヤしながら小声でキツめに叱る。

子供は、まだ喋れなくても言葉はどんどん覚えていると聞いたことがある、気は抜けない。

それに今は、笠松と私の間には、やるやらない以前の深刻な問題が勃発しているのである。

そこはいくら気の置けない友人であるしほり嬢とて、容易く踏み込まれては困る部分だ。


「なによぉ、そんなに怒んなくたっていいでしょうに。男女が一つ屋根の下で暮らす、これすなわち芽生えるでしょうよ、愛が。いい加減、笠松君にお預け食らわすのやめなさい。あんたみたいなのでも好きなのよ、笠松君は。じゃなかったら同居なんてしてくれないよ?」

「いや、そこは……なんとなく察してるっていうか、嬉しくは……うん、思ってる。でもそれ以前に私たちケンカ中だし。部屋ん中、超殺伐」

「ケンカ?」
 
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