……っぽい。
「うん。その気持ちだけで嬉しいから」
「先輩、俺、ケンカ強いっすよ?」
「え!? ごめん」
笠松の華奢な体に対して覚えた不安が、そのまま態度に出てしまっていたらしい。
笠松に軽く一睨みされて咄嗟に謝ったけれど、私を見下ろす笠松の目は笑っていなかった。
私はとりあえず、取り繕うように笑顔を貼り付けて笠松のご機嫌を取ることに徹する。
「いや、ほんとごめんって。笠松」
「もういいっすよ。先輩がそれでいいならー」
「……、……」
けれど結果は好転してはくれない。
くう、なんて投げやりなんだ笠松準之助……。
しかし、地雷を踏んだのは私だ。
自分の華奢な体型を、もしかしたらコンプレックスに思っているかもしれないのに、会社の先輩だからといえども少々あからさますぎた。
ずーんと反省していると、話題を変えるように笠松はコホンと咳払いをする。
「……ところで、今夜、泊まるあてはあるんですか? というより、これから先もです。部屋のもの、処分するんですよね? 引っ越し先だって早く探さないと。それまでの間、先輩を泊めてくれそうな人の心当たり、あります?」
そうだ、当面の私の住まいの確保……。