……っぽい。
「俺と“あの人”のせい……とは考えられないですか? 過呼吸になっちゃうくらいトラウマを植え付けた“あの人”と、元カノと一緒に寝ていたベッドで先輩を抱こうとした俺と。両方のせいだとは考えられないですか?」
「--あ、やば……っ、息、苦し……っ」
頭の片隅にだって掠りもしなかったその可能性を聞いて、なぜか体のほうが肯定してしまった。
ここが病院だという安心感もあるのだろう、一度目の過呼吸に比べたら格段に軽い苦しさに意識が遠のくことはなかった私は、すぐ傍にあった待合用ソファーの背もたれに手を着き、呼吸が落ち着いてくるのを待つ。
「先輩っ!ごめん、なんで俺、こんなに無神経……好きな人のことさえ全然、俺……っ」
「だい、じょぶ、すぐ治まる……から」
今にも泣き出しそうな顔で駆け寄り、ぎゅっと抱きしめ背中をさすってくれる笠松に、安心してもらうために、もやっと笑う。
絶対この笑顔キモいよ……。
笠松が一生懸命に介抱してくれるから、笑った自分の顔を想像してダメ出しを出せるくらいには呼吸はすぐに落ち着いてきた。
けれど、笠松のほうは違う。
「今日はホテル取りましょう」
「で、でも」
「あの部屋は、先輩にはキツすぎる」