……っぽい。
 
ただ単に、今日はしますかしませんかという確認をしているわけだけれど、無理もない。

笠松のほうが若干、及び腰のようである。

私が良くても笠松が乗り気じゃないなら、できるものもできないけれど、ここまで私をその気にさせておいて今日は無理とか言ってきたら、さすがに10対0でずるいのは笠松だと思う。


「あ、でも今、アレ持ってないです」

「ああ、ゴム」

「じゃあやっぱり、今日はやめておきます。俺がどれだけ先輩を可愛いと思ってるか、言葉だけで先輩をイかせてやりますよ」

「あはは、頼もしいー」


笑っていると、コロンと横にさせられ、一緒に横になった笠松にぎゅーっと抱きしめられた。

Tシャツに着替えている笠松からは、少しのタバコの匂いと、私が気に入って買ってきた柔軟剤の匂いがして、すごく安らぐ。


過呼吸は、絶対に笠松のせいじゃない。

華奢なMサイズにこんなにも安心しちゃうんだもの、笠松にも責任があるはずがない。


結局、あのときはうやむやにして終わらせてしまったけれど、私が今度こそ、ちゃんとケリをつけなきゃいけないんだ、あの人と。

どんなケリのつけ方をすればいいのか、まだ分からないけれど、じゃなきゃ前に進めない。
 
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