……っぽい。
 
ああ、やっぱりマイ乳しまい忘れていたのね。

ていうか、私の体の心配より乳の心配って……。

まあ、乳も体の一部ではあるけれども、笠松の乳じゃなくて私のだからね、私の。

びっくり発言のあまり、医務室の常駐医師と思われる人が飲み物にむせ返る苦しそうな咳を聞きながら、しかし笠松、見事にキャラ崩壊しちゃったなあ……と目の前の当人を見上げる。


相変わらず笠松は仕事仲間にも取引先の人にも気に入られ、それを逆手に取るように相手を上手く転がしているわけだけれども、最近の『めんこい課』の中では、笠松は仕事のできるアホとして定着しつつあるのである。

いろいろ重なって白目率が上がったから。

……と、私は勝手に解釈している。


それにしても、だ。

パーテーションでベッドの周りは仕切られているとはいえ、声までは遮断できるわけもなく、笠松と私は間違いなく医師に恥ずかしい話を聞かれてしまっているわけで、ものすごく、ものすごーく、ここから出て行きにくい。

どうしてくれるの笠松準之助!

仕事に戻るに戻れないじゃないの!あんたも!


「で、なんで年中アホな先輩のくせに熱なんか出しちゃってるんですか? しほりさんに言われて、心配で飲みかけのコーヒーを床にぶちまけたまま、走ってきちゃったんですけど」
 
< 150 / 349 >

この作品をシェア

pagetop