……っぽい。
褒められて尻尾をブンブン振る忠犬よろしくニパッと笑って言えば、笠松の手がふわりと私の頭に触れ、そのままそっと抱きしめられた。
はあ、この匂い、やっぱり落ち着く……。
「先輩、何も不安になることはないんです。千晶とはしっかり別れてますし、今は先輩のことしか見えてませんから。前に嘘をつかずに全部話すって言ったじゃないですか、それでも不安なら何回だって言います。だから先輩は無条件に信じていいんですよ、俺のこと」
常駐医に聞こえないよう、笠松は私の耳元でそう囁き、少し体を離すとおでこにチューをする。
物足りない顔になっていたのだろうか、私の顔を見てふっと口角を上げて笑った笠松に、今度は唇に浅めのキスを落とされる。
「笠松、会社だよ!?」
「誘ったの先輩でしょ?」
「誘ってないわよ!」
小声でケンカしながらソワソワと髪の毛や服を直してしまう私を見て、笠松は口元を手で押さえておかしそうに笑って、そんな笠松を見て、なぜだか私までおかしくなって。
結局、乳を出してキスしたという奇妙な今日のお昼休みは、ほとんどお昼ご飯を食べ損なってしまった代わりに笠松の優しい気持ちで心がふっくらと満たされ、千晶さんのことを考えて体調が悪くなることは、もうなかった。