……っぽい。
こちとら、先輩に向けて好きだ好きだと常に猛烈アピールをしているつもりなのだが、対する先輩はぬかにクギ、のれんに腕押し。
全くと言っていいほど効果はなく、俺がどれだけ本気で言葉をぶつけても、いつもヘラッと緩くかわされてしまう。
それだけ俺は先輩にとって、ただの後輩、ただの同居人という裏付け確認が取れてしまったわけだけれども、でもせっかく同居まで漕ぎ着けたのに、このまま引き下がれるわけもない。
好きなんだもの、あの珍獣が!
どうしようもなく!
「な、俺はどうしたらいい?」
カグから砂肝串を1本もらい、一つをよく噛んで食べながら切実に問う。
カグみたいなワイルドな食べ方はできないので少々男臭さに欠ける食べ方かもしれないが、そもそもガタイの大きさから違うわけで、食べ方だって違って当たり前である。
「うーん、一発お願いしてみれば?」
「は!?」
「それか、好き好き愛してるって毎日言い続けて、徐々に洗脳していく。それがプランB」
「あのな!?」
しかし、カグはこれである。
先輩のクラゲ脳に全く歯が立たない俺を楽しんでいる節が言葉の端々から容易に聞き取れてしまい、つい声が大きくなってしまった。