……っぽい。
 
「ほんでもさ、そもそもまっつんは、なんでクラゲちゃんを好きになったんだ? これ言ったら嫌かもしんないけど、千晶と全然タイプ違うだろ。クラゲちゃんが珍獣なら、千晶はさしずめ強かな雌豹だべ。純粋になんで?って思う」


荒ぶった気持ちを落ち着けるためにビールを流し込んでいると、カグがそう言い、食べ終わった砂肝の串をヒョイと俺に向けた。

ていうか、俺にも千晶にも容赦ないなコイツ。

先輩がクラゲで珍獣なのはまあいいとしても、仮にも高2の夏からつき合ってきた彼女だったんだぞ、強かな雌豹という表現もあながち間違ってはいないけれど、それにしたって容赦ない。

でも確かに、カグにはまだ、そこら辺のことを話していなかったのかもしれない。

もう一口ビールを飲んで喉を湿らせると、俺はあの日見た先輩の姿をカグに話すことにした。





『めんこい課』は出来てまだ日が浅い課のために、仕事の分担は、ほかの課に比べてどうしても疎かになってしまうところがある。

真山課長をはじめとして、効率や能率を上げるために課の面々に仕事を分担させようという試みはあるものの、なかなか思惑通りにはいっていないのが現状だった。
 
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