……っぽい。
◆4◆

コレもう、マジ傑作です!

 
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あれから2週間。

7月に入ったばかりの蒸し暑い午前中。

真人にホテル代わりに使われた私の部屋から、愛用していた家具類が運び出された。


部屋の片づけと新しい部屋の下見を同時に行うのは、週末しか時間の取れない私にとっては体力的にもなかなかキツいものがあり、片付けは済んだものの、新たな住まいを見つけるまでには至っていないのが現状だった。

すると、それを相談した笠松が。

「先に部屋だけ引き払って、俺のところにもうしばらくいたらいいじゃないですか」

そう事もなげに笑って言ってくれ、その言葉に素直に甘えることにしたのだ。


前もって管理人さんには引っ越しの旨を伝えていたので、書類などはすでに手元にあり、サインや捺印も記入漏れもなく済んでいる。

香久山さんにトラックを出してもらい、運び出された家具を見送ったその足で管理人さんに書類と鍵を渡しに行くと、70代後半だろうおじいさんの管理人さんは、「綺麗に使ってくださってありがとうございました」と、私より腰を深く折ってお礼を言ってくださった。


「ところで、橘さんは、新しいお住まいは?」
 
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