……っぽい。
「だから最近、エントランスでお会いすることも減っていたんですねぇ。そうですか、寂しくなりますけど、お幸せになってください」
「あは、寂しいなんて……。お世辞でも嬉しいです。めいいっぱい幸せになります」
「じゃあ、よく片づけを手伝っている男の子は弟さんか何かで? 彼、可愛い顔ですよね、橘さんに本当によく似ていらっしゃる」
「ええ、大学からこっちに出てきて、そのまま就職して。近くに住んでいたものですから、毎週毎週、片付けに駆り出しちゃいました」
にこにこ笑って話す管理人さんに私も同じように笑顔を返しながら、チクチクとした罪悪感を感じながらも“笠松弟だって!くぷぷ!”と笑う。
確かに笠松は、私と並んだときの雰囲気からしても、私服のセンスからしても、管理人さんには恋人より弟という目で見られがちだろう。
笠松に教えたら、きっと白目だ。
『俺、そんなに子供っぽく見えますか!?』とかなんとか言って、落ち込んだり怒ったり、きっと顔面が忙しいことになる。
「--では、書類に不備はありませんでしたので、これで手続きは完了となります」
「お世話になりました」
「こちらこそ、お世話になりました」