……っぽい。
 
お互いに頭を下げ、私は「それでは、失礼します」と言って笠松のところへ戻る。

笠松は外の植え込みのところで待っているということだったので、管理人さんと別れると、そのまま外に出て笠松と合流した。


「ちゃんと嘘つけました?」

「うん。結婚が決まって、ちょっと浮かれている29歳らしい振る舞いができたと思う」

「よくできました」

「ありがとやんした」


ちょっとバカにしているような言い方の笠松に張り合い、えっへんと胸を張って言うと、ふふっと笑った笠松にポフポフと頭を撫でられた。

今日はこれから、不動産屋さんに行ったり、お疲れさま会という名の買い物に行ったり、あとから合流してくる香久山さんから家具のカタログを見せてもらう約束をしている。

しほり夫婦も今日は時間があるそうで、午後から旦那さんの誠治さんと拓人くんとの計6人で喫茶店に集まり、かねてからしほり嬢ご希望の拓人くんのドレッサーの件も、香久山さんから直接話を聞くことになっているのである。


ちなみに、香久山さんのご実家は木材店なのだそうで、古い家具の下取りもしているらしい。

そのため家具の処分費用はかなり融通して頂いてしまい、その代わりと言ってはあれだけど、長く使えるいい家具を奮発するつもりだ。
 
< 181 / 349 >

この作品をシェア

pagetop