……っぽい。
「それにしても、先輩って部屋着と中身以外はほんと乙女ですよね。片付けを手伝っているときから思ってましたけど、センスも素敵だし、あんなに可愛らしい家具を揃えていたのに、壊してしまうの、もったいないです」
「部屋着と中身も今は乙女ですぅ。でも、もったいなくはないかな。あんないわく付きの家具なんか、とてもじゃないけどリサイクルに出せないもん。気に入って買ってくれた人を不幸にしちゃったら、私は私を呪ってしまう……」
「あはは、黒歴史的な?」
「そう、黒歴史!」
他愛ない会話をしながら、笠松と並んで歩く。
今ではもう、こうして笠松の隣を歩くのがごく自然で、居心地がよく、安心する。
弟に見えても、やっぱり笠松の隣がいい。
「でもさ、部屋を引き払ったからって、あの人に会っちゃったら、あんまり意味なくない? いくらギャフンと言わせるっていっても、居場所を突き止められでもしたら終わりじゃん」
笠松の腕に自分の腕を絡ませながら、兼ねてから不思議に思っていたことを尋ねてみる。
笠松が気が済まないとか嬉しいことを言ってくれたから言う通りにしてきたし、たくさん女の人を囲っている真人が私なんかにそこまで執着することもないと思うのだけれど、逆上されるパターンも笠松の頭の中にはあるのだろうか。