……っぽい。
 



「かぐやま、ヤモリ……さん?」

「いえもり!家を守ると書いて“いえもり”!まっつん、この人やっぱクラゲだ!アホだっ!」

「ぶはっ!! ヤモリ……っ!!」


そんなこんなで、午後。

予定通り、笠松と私、香久山さんと、しほり一家3人の計6人が集まった、某喫茶店内。

大人数席に席を取った私たちは、初対面だったり下の名前を知らなかったりしたので、社会人らしく名刺交換することになったのだけれど、私の真面目な発言に香久山さんは泣き出し、笠松は盛大に吹き出してしまった。

そっか、いえもりさんかと一人納得する私をよそに、しほり夫婦にも爆笑の大嵐が吹き荒れているようで、ケタケタ、ゲラゲラ、指を指しても笑われてしまい、私はなんだか面白くない。

ぶっくりと頬を膨らませ、事の成り行きを見守っていれば、私を除く大人4人の中で一番に立ち直ったしほりが香久山さんに向き直った。


「それで、クフッ……か、香久山さん、この子のドレッサーなんですけど、何かオススメの……あははっ、もう我慢できない!ちょっと笑ってくるわ!誠治、拓ちゃんと話聞いてて!!」

「……」


……うん、まだ立ち直れていなかったようだ。
 
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