……っぽい。
「ぶはっ!やっぱアンタらいいわ!」
すると、自分の失態に気づき急にオロオロしだす私と、ぶすっと膨れてそっぽを向く笠松に、香久山さんはなぜか盛大に吹き出す。
目尻に涙まで浮かべて。
「もう済んだだろ、帰れやカグ」
「へいへい。まっつんって結構ヤキモチ焼きだから苦労も多いと思うけど、その分いつも本気だから、緩~く受け止めてあげてください」
“へいへい”はギロリと睨みを利かせた笠松に、それ以降は私に向けて言った香久山さんは、まだ笑い足りないのか、大きな背中を小刻みに震わせながら今度こそ帰っていった。
大人数席はあっという間に2人になる。
「ごめんね、笠松。ホントうっかりだったの、他意はないのよ、許して……?」
いそいそと笠松の隣に腰を下ろした私は、うっかり機嫌を損ねさせてしまったヤキモチ彼氏のご機嫌を取ろうと必死だ。
ここででも、部屋へ帰ってからでも、絶対服従命令が発動されたら、たぶんちぎれんばかりに尻尾を振って従順に従えるだろう。
それくらいの心持ちである。
が。
「……今日の晩飯にハンバーグを焼いてくれたら、許してあげないこともないですよ」
「え、それだけでいいの?」