……っぽい。
 
「笠松、今日はいっぱいハンバーグ焼くから」

「じゃあ、余った分は冷凍して、好きなときに食べましょう。先輩と俺と、2人で。抜け駆けは許しませんからね。お仕置きの刑です」

「……うん」


最後の最後まで抵抗していた1人がようやく中に押し込まれると、何台も停まっていたパトカーが雨の中をゆっくりと走りはじめた。

心持ち、さっきより強めの雨だ。

その様子を傘の隙間から笠松と眺めていると、ふと見知ったような横顔が私たちの前を通り過ぎていったような、そんな気がした。

茫然自失、この世の終わりのような虚ろな目。

そんな表情をし、パトカーの後部座席に力なく座る男性の横顔にはなんとなく見覚えがあり、笠松も気づいたのだろう、私と目を合わせると不適なワルい顔で、こう呟く。


「ギャフン!」


おどけたような口調は、笠松が私を十分に気遣ってくれてのことだろう。

けれど私は途端におかしくなってしまって、近くの人にギョッとされながらも、ヒーヒーという引き笑いがなかなか治まらない。


「あはは!真人、何やってんのよ!」

「ほんとですよ、俺たちが復讐するまでもなく勝手に警察に連行されちゃうって、コレもう、マジ傑作です!バカすぎて笑うしかねえ!!」
 
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