……っぽい。
「どうぞ。使ってください」
「……ありがとう……ございます」
「いいえ〜」
まずは濡れた髪から遠慮がちに拭いていく彼女をニコニコ、ニコニコ、笑って眺める。
しかし可愛いなあ。
笠松の知り合いなら同い年くらいだろう。
顔立ちが甘いから一見すると幼く見えがちなような気もするけれど、白いワンピースや服に合わせてコーデしているだろうバッグやミュールがシンプルなのにハイセンスで落ち着いた印象を与えるため、甘さが控えられていて、佇まいもどこか凛として見える。
「あ、温かいお茶でも飲んで行かれません? 服も乾かしたほうがいいですよ。私もこれからお昼ご飯なんで、一緒にどうですか?」
「夕方なのに……ですか?」
「ええ、夏風邪引いちゃって。さっきまで寝てたんです、風邪なのにお腹出して。意味ないですよね、あははー。だから、服が乾く間だけでもつき合ってもらえませんか?」
頭から被ったタオルの間から、誘いに乗るべきか否かを考えている様子が窺える。
それでもニコニコ笑っていると、彼女は小さな唇をぷっと綻ばせ「分かりました」と、ようやく安心したように微笑んだ。
「じゃあ、乾燥が終わるまで、とりあえずコレ着ててください。今、お茶用意してきます」
「ありがとう」