……っぽい。
 
「そうですよね!名乗りもしないで失礼しておりました!」と頭を下げて、私はこういう者です怪しい人ではないですとアピールする。

よっぽど私の怪しい者ではありませんアピールが面白かったのか、彼女は終始クスクス笑っていたけれど、ふと「私は瀧川と申します」と。

そして「彼とは大学の同期でした」と。

そう言って、ふわっと笑った。


「じゃあ、香久山さんともお知り合いですか?」

「カグちゃん!懐かしいなあ、そうです、仲良かったですよー、とっても。あの人、やたらと体大きいですよね。基本的に筋肉バカなんですよ、筋肉さえあれば全てオッケーみたいな」

「あはははっ!言えてる!」


香久山さんがマッスルポーズを取っている姿を想像して、思わず爆笑してしまう。

笠松のオエオエのときに香久山さんの筋肉を見たけれど、すごく鍛えられていたし、この前、喫茶店で会ったときも半袖から覗く二の腕の筋肉や胸板の厚みがすごくて、もはやそっちに転職を勧めたいくらい、似合いすぎている。


「笠松君も鍛えようとしていたみたいですよ」

「そうなんですか?」

「ええ、でも、彼女さんに“ジュンノの顔でマッチョはどうかなぁ……”って首を傾げられたとかで、大量に買ったプロテイン、全部カグちゃんに売りつけたって話、聞きました」
 
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