……っぽい。
◆珍獣のおもてなしは時に大胆不敵で斜め45度
「……久しぶり、千晶」
「ジュンノ、元気そうだね……」
「あの珍獣、会社の先輩で、今は俺の彼女」
「うん、一生懸命、自己紹介してもらったから分かってる。可愛い人だよね、外見も中身も」
「今、夏風邪引いてて。マジ寝するって」
「悪いときに押し掛けちゃったね……」
約半年ぶりに会った千晶との会話は、先輩の話をしたきり、続かなくなってしまった。
夏風邪の先輩に後ろ髪を引かれる思いで仕事に行って、帰ってきたら俺がとことん介抱してあげるつもりだったのに、なぜか部屋には千晶がいて、なぜか先輩に買ってあげたネグリジェを着ていて、そしてなぜか俺より困った顔でこちらをじーっと見つめている、この珍光景。
なかなか現実に理解が追いついてこないんだけど、たぶん全部先輩の仕業なのだろうことは容易に理解できて、頭が痛い。
何をしに来たんだとか、俺に会ってどうするつもりなんだとか、聞きたいことは色々と頭を駆け巡っているものの--とりあえず、一つ教えてあげたほうがいいだろうか。
……千晶、それ全然似合ってないぞ。
「あの……ね、ちょっと顔が……見たくなって」
すると、ネグリジェのふりふりを手持ちぶさたで弄りつつ、おずおずと千晶が口を開いた。