……っぽい。

　
あれ、千晶ってこんなキャラだったっけ。

笑うときは、もっとこう、清楚というか、おしとやかというか、女の子らしく口元を手で覆ってクスクスと笑っていたような気が……。

そんなことを思い出していると。


「あのさ、ジュンノ。今頃になって元カノが会いに来るっていったら、ヨコシマな動機しかないと思わない？　……復縁したいとか、さ」


スッと笑いを収めた千晶は、キュッと口角を上げると、とんでもないことを言い出した。

かと思いきや。


「嘘よ。カグちゃんから電話もらったの」

「……カグから？」

「そう。カグちゃん、『最近のまっつん、橘さんの引っ越しのことで元気ないみたいなんだ。千晶なら話聞けるんじゃないか』って。ま、頼む相手を間違えた、忘れてくれとも言ってたんだけど、気になっちゃうじゃない？」


そう言って、ちょっぴり切なそうに笑った。

カグめ、マジで頼む相手を間違えている……。

千晶に連絡をしたところで、もしも先輩が突然過呼吸を起こしてしまったらとか、そういう可能性を少しは考えられなかったんだろうか。

ベッドも、アイツのことも解決したけど、だからといって千晶に会ってしまったら同じ事の繰り返しにだってなり兼ねないのに。