……っぽい。
「でも千晶、俺は、今は言うタイミングじゃないと思ってる。本当は言いたい。だけど先輩には、同棲も結婚も、たぶんいい響きじゃない」
「それは、ジュンノが言ってもそうなの?」
「だと思う」
きっぱりと言い切ると、千晶は唇をすぼませて面白くないですよーとアピールをする。
千晶は千晶なりに言いたいことがあるんだろうけれど、それでも俺の気持ちは変わらない。
そういう、人生に大きく関わるような重大なことをつき合ってまだ間もないうちに言っても、本気で言っていると思ってもらえないかもしれない、つき合いたてで盛り上がっているだけだと捉えられてしまうかもしれないのだ。
先輩のことが大事なのだ、すごく、すごく。
だから、もう少し先輩の傷が癒えるのを待ってから言ったって遅くはないと思う。
「だったら空元気出しなよ。もう遅いけど、いずれ引っ越すって分かってたんだから、最初から態度に出ないように覚悟しときなよ……」
「そう、だけど‥…」
もっともなことを言われて、バツが悪くなった俺は千晶から視線をずらして口ごもる。
確かに。
ここ最近の俺は、どうにも子供っぽすぎた。
自分のことだけで精一杯で、先輩を不安にさせた挙げ句に一人で泣かせてしまったのだから。