……っぽい。
お気に入りのTシャツを色物と一緒に洗ってしまって、まだらピンクに染めちゃったりとか、洗顔フォームで歯磨きしちゃったとか。
実は子供の頃はめっちゃデブっていて、根性でダイエットしたら痩せすぎて、それが逆にコンプレックスになってしまった……等々。
千晶さんしか知り得ないことを、時間を惜しむようにたくさん、たくさん話してもらって、いつか笠松が自分のことを“なんでもソツなくこなせる器用貧乏”と言っていたことは、わりと嘘だったのね……と私は一人納得したのである。
たぶん。
たぶんだけれど、私に同居を了承してもらうための格好つけだったのではないだろうか。
年下の男の子は、それだけで年上女子からすると頼りなさげに見えてしまう所があるから、ビッグマウスではないけれど、少しでも自分を頼れる男に見せたくて頑張った結果……なんて。
そう思うと、笠松がめっちゃ可愛い。
「先輩、そういう頭の回転は早いですね」
「基本的にバカでポジティブだからね」
「そういうところが可愛いんです」
「……それ、褒められてんのかな」
「ぶはっ!」
結局笑われるし、バカにしてるよね、これ。
あんまり嬉しくないな、うん。