……っぽい。
「出て行かないでください。2人で住める部屋を一緒に探して、すぐに結婚しましょう。……ずっと、こう言いたかったんです」
「笠松……」
長いキスが終わるのを待って目を開けると、笠松が切なげに顔を歪めていて、私はすぐに返事ができなかった。
私にはきっと禁句だと思っていたのだろう、言ってから「今の忘れてください」なんて言って額を押さえて後悔を募らせる笠松の姿が痛々しくて、なんだか見ていられずに視線を外す。
私と一緒に住むということは、笠松は私の人生を引き受けるつもりでいるのだと容易に想像がついて、と同時に、その本気が痛いくらいに胸に、全細胞の奥の奥まで突き刺さった。
けれど、不安なのだ、とても。
4つ離れた歳の差、笠松がまだ25歳の若者だということ、笠松に私は相応しくないんじゃないかとどうしても思ってしまう自分の弱さに、嬉しさよりも不安が大きくなってしまう。
「……私、笠松が好きだよ」
「知ってます」
「離れたくないよ」
「俺だってそうです」
「でも……考えさせてほしい」
「ええ、もちろん」
結局、今答えられることは、これだけだ。
「……ごめんね」
「いいですよ、ゆっくり考えてください」