……っぽい。
曖昧な答えしか返せなかった私を、怒ることも咎めることもなく、こうして変わらず受け止めてくれようとしているなんて。
私が自分の胸に飛び込むことを信じて疑わないところとか、一体、どうなっているんだろう。
……まあ、そういうところが、頼もしくて大好きで、ちょっと抜けていて可愛いんだけど。
「ほら先輩、ガッとバッと来てくださいよ」
相変わらずだなあと思いながらクスクス笑っていると、笠松がさらに腕を広げて急かしてくる。
あら、拒否権もないのね。
こういう、要所要所で絶対服従命令を出してくるところとか、やっぱりニクいわ、笠松。
そして、一生、適う気がしない。
「にゃーん!」
仕方がないので、なぜそこでこれをチョイスしたのか分からないけれど、子猫ちゃん風に一声鳴いて、笠松目掛けてダイブする。
笠松は、そんな私をケタケタと笑いながらも満面の笑みで迎え入れようと前屈みになって、そして、抱き留める瞬間--パリン。
笠松が自ら膝小僧でメガネを割った。
「あ……」
「……あ」
2人同時に、ものすごーく悲しい気分になる。
どうしてこう、私たちにはいつもキメるところでオチが付いてくるのだろうか……。