……っぽい。
 



私たちはそれから、ゆっくりと出かける準備をし、お昼近くに部屋を出た。

夕方、新しいメガネと晩ご飯の材料を携えて部屋に帰ってきた頃にはすっかりメガネ2号の話で盛り上がっていて、まずまずいつも通りの日曜日を過ごせたのではないかと思う。


今日は、不動産屋さんには寄らなかった。

笠松の手前、寄れなかったというのもあるし、真人が自分で墓穴を掘ってくれたおかげで急ぐ必要がなくなったというのもある。

でも一番は、一人暮らしに戻る決心がつかないことで、そんな中途半端な気持ちでは、たとえ優良物件が棚ボタ的に転がり込んできたとしても何も決められないと思ったからだ。

それに--。


「ていうか、メガネ屋の店員、めっちゃ失礼でしたよね!俺たち姉弟じゃないっての!」


晩ご飯の支度をしていると、待ちきれないのか、キッチンに顔を出した笠松が不機嫌そうな声を出しながら横からトマトをつまみ食いした。

そう、これ。

この出来事に私は思いがけなく傷ついている。


今日の笠間の格好は、白地に大きめのカラフルな水玉がプリントされたお洒落可愛いポロシャツと、赤茶色のチノパンにスニーカー。
 
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