……っぽい。
 
チノパンの裾をくるぶしにかかるがどうかの絶妙な位置で折っているのがニクく、夏らしく爽やかな色使いの数珠風ビーズのブレスレットをさり気なく合わせているのが可愛かった。

対する私は、袖がボリューミーに膨らんだ細かい白黒チェックのブラウスと、七分丈の白いパンツにベージュのシンプルなパンプスを合わせた、ザ・通勤スタイル的な……。

リネン生地で作られているネイビーブルーのバルーンバッグを肩に引っかけていることで、辛うじて仕事風の装いからは外れたものの、笠松に比べてカッチリしすぎていたせいで店員さんには私はお姉さんに見えてしまったらしい。


「でも、前の部屋の管理人さんにも、笠松と私って姉弟に見えてたみたいよ。管理人さん、本当によく似ていらっしゃるって言ってたもん」

「マジですか!ショックだわ……」


とかなんとか言いながら、笠松は、デザートに食べようと思って洗って冷やしているはずのさくらんぼをなぜか冷蔵庫から取り出し、私の許可なくもぐもぐと食欲旺盛に食べる。

……いや、さくらんぼくらい好きなだけ食べたらいいさ、それよりも今、私の脳内を占めているのは、他人の目によってまざまざと突き付けられた“年齢差”という永遠の問題である。
 
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