……っぽい。
「おっ。お腹が空いてきたなら、もう大丈夫そうっすね。なんなら、先輩はシャワーどうですか? 俺、自炊はけっこう得意なんで、シャワーの間に何か適当に作っておきますけど」
「……そう? じゃあ、お風呂頂こうかな」
「了解です」
一瞬、シャワーという単語に警戒心が芽吹いたけれど、終始にやけた顔で主夫を申し出た笠松に下心なんてものがあってたまるか、と思い直し、せっかくの厚意に甘えることにする。
私を部屋に上げるときにも何かしようなんて思っていないとはっきり公言していたし、というか、ツンデレも分からない年上女を好き好んでどうにかしようなんて、どうして思えよう。
正直、顔が涙でガビガビになっていたから、ご飯かお風呂かの瀬戸際でもあった私だ。
お風呂から上がったらすぐに食事ができるヒャッホーな状況に飛びつかないわけはない。
「じゃあ、お先ね」
「ごゆっくりどうぞ。あ、覗きませんから」
「知ってるわ!」
「本当は覗いてほしいくせにー」
「覗いたら死刑だかんね!」
と、ひとまずアホな掛け合いをしたところで、先ほどコンビニで調達した、とりあえずの化粧品類を持ってシャワーに向かう。