……っぽい。
結局、お盆休み中に笠松以外からかかってきた電話は、香久山さんと母の2つだけ。
しほりのところは誠治さんの実家に行ったり、しほり自身の実家に行ったりと仕事以上に忙しいスケジュールらしいし、彼女以外の友人たちもまた、それぞれの予定が入っていて、一緒に遊んでくれる人は悲しいかないなかった。
でも私は、けして強がりなんかじゃなく、そのほうがよかったと思っている。
笠松のことをじっくり考える時間が欲しかったし、笠松と私のこれからのこともそうだった。
あの夜、私に縋っていた笠松が何を思ってそうしていたのかは、未だに分からないままだ。
けれど絶対に、私を一人にするのが心配だからとか、ほかの人にうっかり惚れられるのが不安だから行きたくないと駄々っ子笠松になっていたわけではないことは、だんだんに分かってきていて、きっともっと深いところに拒絶する何かがあるのだろうことは察しがついた。
ただ、その深い部分がなかなか分からなくて、ずっとモヤモヤが続いたまま、お盆休みが終わり、会社もいつも通りに始まり……。
そして、3ヶ月の全国キャンペーンもそろそろ折り返しとなる1ヶ月半が過ぎた9月上旬。
「笠松君が倒れた!?」
事件が起きた。