……っぽい。
たかがパンツだけれど、されどパンツでもあるのだ、こういう女子の繊細なハートの部分はそっと包み込んでもらいたいものである。
しかしそこで、私の脳裏に、とあるポスターの写真が鮮烈に浮かび上がった。
10年か、それより少し前か。
とにかく私がまだ学生だったとき、新発売の男性用下着のプロモーションで、ボクサーパンツを身につけて写真に写っていた、とても綺麗な女優さんのことを思い出したのだ。
駅の構内で、その妖艶なポスターを見たときの衝撃といったら、それはもう、すごかった。
女性が男性の下着を身につけるというのがセンセーショナルではあったけれど、いやらしさは全くなく、綺麗だなあ……と終始見とれただけ。
そんなことを唐突に思い出した私は、彼女が味方になってくれているような心強さを感じながら、再度催促してくる笠松に吠える。
「うるさい笠松!今パンツ履いてるんだから、ちょっと黙っててよっ!」
そう言うと、むんっ!とパンツに両足を突っ込み、一気に腰まで上げた。
それからは、思いがけず履き心地のいいボクサーパンツの感触に、内心でハマりそう……と思いながら、笠松が用意してくれた奴サイズのTシャツや短パンを身に着け、席に着いた。