……っぽい。
私は1日のほとんどをオフィス内で過ごすために気づきにくかったけれど、もしかしたら笠松は炎天下の中で何時間も立ちながらキャンペーンをしていたのかもしれない。
そう思うと、なんて私はバカなんだと自分にとことん嫌気が差してきて、全身から吹き出してくる汗とともに涙が出てきてしまった。
もしも私がそういうところにすぐに気が回る人間だったなら、水分補給や塩分補給をしっかりとか、無理しないで時間を決めて休んでなどの体調を気遣う言葉を言えていただろうし、笠松が抱えているものにも気づけただろう。
でも私は、やっぱり察する力がまだまだ足りないクラゲ並みの脳みそしか詰まっていなくて、言ってもらってようやく気づけるバカだ。
「っ……笠松、ごめん……」
倒れるまで仕事させちゃって。
一つも分かってあげられなくて。
病院に着いたら笠松になんて言って謝ったらいいだろうか、そもそも笠松はこんな私をどういう顔で迎え入れるんだろうか……。
そんなことをひたすらに思いながら、私はただがむしゃらに駅に向かって炎天下の道を走り抜け、私鉄を何本か乗り継ぎ、東北本線下り線のホームで仙台駅行きの新幹線を待った。