……っぽい。
 
私、やっぱり笠松がいないとダメだよ。

だからちゃんと話してよ、受け止めるから。

仙台へ向かう新幹線の中で、笠松の笑った顔とあの夜の怯えきって私に縋っていた姿を交互に思い浮かべながら、刻々と色を変える空の色と外の景色を、祈るような気持ちで見つめた。





仙台に着いたのは午後6時頃。

若干の蒸し暑さの中、帰宅を急ぐ人たちの上には着々と夜の帳が下りつつあり、駅の周りは色とりどりのネオンがキラキラと煌めいていた。

そんな中、私は会社を出てから間もなくして大崎ちゃんから送られてきたメールを開き、地図を頼りに笠松が入院している病院へ向かう。


大崎ちゃんの対応は本当に迅速だった。

しかも地図も添付してくれていたので、初めての土地でも思ったほどアタフタすることもなく、私は目的地に向かえている。

新幹線の時刻についてもその通りの迅速かつ親切丁寧な対応をしてもらい、わずかな時間差で1時間遅い新幹線に乗ってしまいそうだったところを、彼女の機転のおかげで時間のロスなくこうして仙台まで来ることができた。

『仙台に着きました。今、病院へ向かっているところです。地図の添付ありがとう。すごく助かってます』--歩きスマホはいけないので、手近な壁に寄りかかって大崎ちゃん宛てにメールを打つと、再び地図を開いて歩き出す。
 
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